2014年5月度 金曜登山部例会報告
蓬莱山〜権現山縦走(ミドル)
 



  

  実施日 2014年5月23日(金)
  天  気 晴れ 気温8度(打見山10:00)
  参加者 視障:4名  晴眼:5名  合計:9名
  コース 大阪駅07:45〜JR新快速〜08:42堅田駅のりかえ08:45〜JR普通〜
〜08:59志賀駅09:05〜送迎車〜09:17バレイ09:40〜ロープウエイ〜
〜09:45打見山山頂駅(体操)10:00〜10:35蓬莱山山頂10:40〜
〜小女郎池分岐〜11:30好展望無名小ピーク台地(昼食・コーヒー)12:00〜
〜ホッケ山〜12:55権現山13:00〜13:30アラキ峠13:35〜
14:30平(杣の道で反省会) 15:59〜江若バス〜16:30堅田駅16:38〜
JR新快速〜17:28大阪駅・解散
  感 想

  昨年の金曜登山部10月度例会が雨天中止になった、同一コースのリベンジ登山でした。
  当日の気象状況は、概ね好天を予想していたが、前日から高高度上空に大陸方面から
  寒気が流れ込んでいたので、多少不安定な天候と読んで出かけた。
  平日だったのでロープウエイもガラガラ、約5分で約1,100mの山頂駅に降り立った。
  歩いて登れば、所要時間は3時間以上、縦走することは出来ないのでありがたい。
  雪の消えた芝生のゲレンデのど真ん中を、蓬莱山山頂めざし登っていると、野生のシカの
  糞が、ばらまいたように多量に落ちており、踏まずに歩くのが面倒だった。
  
  蓬莱山山頂には、一等三角点があり、撫で回してから縦走路を小女郎池へと下って行った。
  この先、道端にはお地蔵さんが沢山祀られていたが、中には15cmほどの、可愛らしい
  お地蔵さんが3体祀られていたが、顔がつるつるに磨かれており、のっぺらぼうだった。
  数は少なかったが、イワカガミのピンクの花がチラホラと咲いていた。
  歩いていると、ウグイス、カッコウ、ホトトギス、などの野鳥がしきりに鳴いており、時折、
  鹿が一声悲鳴のような声を発していた。
  
  権現山で、最後の展望を楽しみ、平までの急な下りをゆっくり歩いて下りた。
  バスに乗るまでの約1時間半を、馴染みの杣の道に立ち寄り、炭火で焼いてもらった
  めざしをかじりながら、ビールで乾杯。
  店の主人手作りの尺八を吹かせてもらったが、スースーと息が抜けるで、様にならず。
  大阪駅で、堅田駅からの帰りの乗車券を購入していたので、焦らずに乗車できた。
           





参加者からの感想文

金曜登山 「蓬莱山〜権現山縦走」

  5月23日(金)心配していた前日の雨もすっかりあがり、比良山系付近の空は「サツキバレ」に恵まれて、
  申し分のないハイキング日よりとなった。
  それにしても標高千メートルともなると、さすがに今の蓬莱山の頂上付近の気温は、プラス8度しかない
  とは予想外の驚きだ。この温度は我が家の冷蔵庫と同じくらいである。
  とりわけこれが大阪市内なら丁度真冬並といったところだろうか。
  
  ところで休憩タイムに至っては、余りのんびり体を休めていると、やがて大変なお見舞いをくらわされる
  ことになる。
  時間がたつにつれ、次第に鼻の頭とか指先をすり抜けて行く冷たい風は、痛みとしびれを増幅するように
  「ぴりぴり」と刺してくるのである。
  やっぱり暖かな里とは異なり、山の遅い季節の訪れをいやでも思わされてしまう。
  冷気が全身をまといはじめるころには、もうどうしようもなく寒くなり「ブルブル…」と震えながらその場で
  足ふみを繰り返してしまうのだ。
  何か「ヒトコト」言いたいのだが、これも寒くて奥歯は「ブルル…」うまくかみ合わせることもおぼつかない
  ほどだ。
  実は現在、初夏にありながら、いまだ寒さをとどめるこのコース、「かざぐるま」では、年明けの1月17日
  「金曜登山部・雪中登山」例会として実施している。
  
  5ヶ月前の蓬莱山の周りは、すべて見事に一色におおわれた真冬の銀世界だった。
  近江八景の一つである琵琶湖を見下ろすこのあたりの冬景色は、「比良の暮雪」と言われている
  風光明媚(ふうこうめいび)なスポットだ。
  さて、この雪中登山、日中の気温は氷点下5度、まさに冷凍庫に包まれながらの山行だった。
  通常歩行と違い、積雪1メートル前後の雪道をアイゼンを装着しての歩行だ。
  時々雪穴に足をすくわれて膝の上までうまってしまう。そのたびに足を引き上げるのだが、これがまた
  厳しくて、この種の運動が体力を消耗する原因になっていく。
  この動作を何回か繰り返すうちに、足にかなりの負荷がかかるようになり、歩行はだんだん困難を
  きわめてくるようになってくるのだ。
  やがて権現山頂上に到達するころには息もあがり、汗だく状態だ。既に足はおぼつかなくふらふらと
  なっている。
  
  先頭を行くコースリーダーの「頂上到着」!と言う第一声が聞こえると、急に安心したのか、力も抜けて
  足の疲労はいよいよ限界寸前だ。
  このタイミングで休息はありがたい。ふんわりと綿のような雪の高級絨毯の上に「ヘタヘタ・ドスン」と
  ばかりお尻を落とす。
  なんと気持ちのいいことだろうか、「ああ楽ちん、楽ちん」!これが悪戦苦闘の結果のうれしいご褒美だ。
  思い出してみれば、冬登山は今回の登山より倍疲れる踏破だった。
  
  さて一月と五月、同じこのコースを歩いてみての感想は、千変万化、何もかも四季の個性がそれぞれに
  独立しているので、自然の風景もまるっきり別世界を様すのである。
  そこで今回は冬と夏、このあたりで聞いた鳥の声から、耳を通して心に深く感じたサプライズを書いて
  みたい。
  
  1月、雪にすっぽり抱かれた空間は、雪の魔力で周りの音を吸収してしまうのか、ひっそりとしていて
  淋しいものだった。その静けさを無遠慮に破ったのは、「カーカー」と会話をしているのか、互いを呼び合う
  烏の群である。
  静けさの中から聞こえるのは、我々の話声と烏の鳴き声のみだった…。
  
  さて今回、一転して季節は初夏の5月。
  緑と彩る花に包まれた世界では、それぞれが美しい声を誇らしく気取っている。
  「三つ鐘を鳴らすのは私です」!とばかり、にぎやかな野鳥達の喉自慢大会が、はれがましく催されて
  いるのである。
  その鳴き声の中で、特にぼくの気を引いた鳥がいたので、今回取り上げてみた。
  先ず命名だが実に珍しい取り合わせだ。鳴き声は「カッコウ」!と聞こえ、ついた名前は「かっこう」と
  単純明解とわかりやすく名前はそのまま「かっこう」である。
  ところでこの鳥、蓬莱山あたり、よほどこの地がお気に入りなのか、遠くに近くにやたらと
  「カッコウ・カッコウ」と歌いながら忙しそうなことしきり。
  
  さて驚かされるのは、あろうことか、この鳥、ふてぶてしくも他の鳥の巣に卵を産みつけ、そのついでに
  子育てさえもさせてしまうという「托卵」という、実にあつかましくもズウズウシイ特異な習性で知られて
  いる渡り鳥である。
  そうそう、そういえば最近人間の社会でも、似たような事をやってはいないだろうか?
  自分の思いを通すため、外国までわざわざ出かけて行き、どうあっても満足をやり抜く。
  「どれほどお金をかけても、どんなにしても赤ちゃんが欲しいって」?
  「やれやれ」!
  「うまく成功しなくとも土壇場で支払いを値切るなよ」。
  「ケケチケチンボやい!アワワワ!ジャジャジャ じゃなかった」。
  「おいおい、ちょちょちょいまてまて、大宇宙のおきてを何とする、欲が深いぞ、おろか者、クレージー、
  バカバカ、プラスバカメー!」「アハハ」
  
  ところで人間とは違い、欲ボケなしの「かっこう」。命を張って唯一「托卵」する目的だけで、はるばる南方
  より海を渡り、遠い遠い日本へと頑張ってやって来たのだ…。
  大いなる自然の知恵と力を受けて、今こそ、この比良山系の大空を舞いながら、虎視眈々と狙いをつけて、
  たくましく、したたかに「それなるもの」をねらっているのだ。
  あまりにも印象的なイメージを心に残してくれた「かっこう」、今回感想文を書くに当たってのヒロインは、
  たくましくも勇敢な彼女しかない…。
  例え元祖育児放棄の「かっこう」であっても、気持ちを込めて拍手をおくりたいものだ。
  「似て非なるかな」。
  
  さてこの日、ぼくは長い人生で大変貴重な初体験に出会ったのである。
  生まれて初めて生で「かっこう」の鳴き声を聞いた。その鳴き声は妙になつかしく、小気味のいいリズム
  で耳にやさしく飛び込んでくるのだ。
  「カッコウ」!「カッコウ」!
  この鳴き声、この響き、この音を聞くと、なぜか不思議にも心の中に自信が沸いてくるようで安堵するので
  ある。
  
  鶴橋駅前に、「カッコウ・カッコウ」!と周りの騒音をさいて、鮮やかに通る声でいかにも誇張するが如く
  鳴いている。
  鳴き声に親しみがあるのはこれだ。「かっこう」はここにいる。
  毎日鳴いている。安全第一、青色に変わった信号の点灯を教えてくれているのである。
  「鬼さんこちら…カッコ鳴る方へ!」とばかり…。
    


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